親父のトマト

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 昔、パンツの穴という映画がありましたが、親父のトマトと何か関係があるのかというと何も関係ありません。
 親父のトマトは最新曲の題名です。
 皆さんもこの曲を聴くと何かを思い浮かべる、この味は何かを思い出させる、このにおいは....と思い出を駆きたてるものがあるかと思いますが、トマトを食べると親父を思い出すという望郷の歌なのです。
 ヨイトマケの歌は私の先輩の李陽雨さんの十八番ですが、この歌を聴くと私は両親を、特に母親を思い出します。
 昔の母親は土方に行っていました。勤めに出るとは土方に出ること。きようの仕事はつらかった、後は焼酎をあおるだけ。それは男のわがままで、母親は土方に行っても家に帰って家事に子育て
、奴隷のように働いていました。おしんじゃないけど、ついこの前のことです。ほんとに楽な世の中になりました。
 限りないものは欲望と陽水が35年前に歌っていますが、こんなに楽な世の中になっても欲望はとどまることを知りません。
 発展途上国や独裁国家ではいまだに飢餓があります。
私は生活苦のため空腹で死にそうになったことは体験していませんが、一日食べずに剣道の稽古をして、低血糖を起こしそうになったことや天草という寒天の原料になる海草を取るため食事せず一日中海に潜ってやはり低血糖を起こしそうになったことがありま す。飢餓とはあの何十倍も苦しい、恐ろしいことなのです。なんとなく分かります。
 親父のトマトではありませんが、天草を取って疲れ果て、他人の畑からとって食べた、陽に照らされて熱くなったトマトも最高にうまかった事を覚えています。 
 親父のトマトの作曲テーマをくれた久保さん夫婦に感謝。
 
   親父のトマトはうまかった
   汗と涙がしみ込んだ
   畑のにおいが懐かしい
   おやじのトマトを食べる時
   遠い田川を思い出す
 もちろんメロディもつけてます。

       シンガーソングライター
         さくらい英夫